ABOUT US

 わたしたちは電気顕微鏡をつくりました。電気顕微鏡は、液体に接触させた電極に交流電流を流した際に液体と電極の界面に生じる抵抗を特異的に取り出すことによって、細胞や油滴などの液体中に分散した不均質構造の配置や大きさを撮影する装置です。この装置は、従来の光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡と異なって、ピント合わせ、染色、固定といった準備を行うことなく細胞レベルの微小な構造を解析することができます。わたしたちは、電気顕微鏡の製造・販売を通じて人類の知識を増やし、科学の発展と文明の持続に貢献します。

 半導体微細加工技術の研究者と生物情報学の技術者からなるチームです。チームをつくった理由を順を追って説明します。今日の医学生物学研究は、測定・分析技術の進歩によってかつてないはやさで発展しています。特に進歩しているのは、単純な測定素子の超並列配置とコンピューティングを組み合わせることで飛躍的な効果を広い範囲で実現する、汎用性の高い測定技術です。(次世代シークエンサーや、クライオ電子顕微鏡などがあります。)実はこの仕組みは生き物にとって珍しいものではありません。人間の目の網膜には、細胞でできた素子がきわめて多数並んでおり、脳がそれらの細胞からの情報をもとに計算することで、家族や友だちの顔を見て笑ったり、あるいは文章を読んで感想を持ったりすることができますが、この仕組みも単純な測定素子の超並列配置とコンピューティングの組み合わせであると言えるでしょう。

 日本の未来を担う新産業の可能性について議論を深める中で、現在の半導体微細加工技術でつくることのできる機械が、医学生物学の対象である細胞の大きさに比べて、はるかに小さいことに気づきました。そこで、細胞に合わせて新しく測定原理から装置をデザインすることを思いつきました。ニーズに沿った開発を実現するためには、臨床現場で起きている問題・課題を知る必要がありました。わたしたちは、沢山の方々の協力のもとで多くの現場で勉強させていただくことができました。例えば、がんの転移や再発を絶対に見逃したくないお医者さんは、血液中に漂うがん細胞を見つけたいと考えていましたが、流れる血液の中の細胞を観察する方法がありませんでした。 再生医療のための細胞開発に取り組む研究者は、何億個もある細胞の中に紛れ込んだわずか数個の失敗作の細胞を見つけて取り除くために、すべての細胞を見張り続けたいと考えていましたが、沢山の細胞を懸濁せずに観察する方法はありませんでした。 内視鏡で胃や腸の手術をするお医者さんは、気になる組織について細胞レベルの観察をしたいと考えていましたが、動く柔らかい人体の中で顕微鏡のピントを合わせ続けることはできませんでした。 勉強させていただいた様々な課題を解決するために、東北大学ならびに東京エレクトロンの有する半導体加工技術・知識と、日本バイオデータの有する細胞、組織培養の技術・知識を組み合わせながら試作と議論を重ねた結果、いまの電気顕微鏡のもととなる測定原理を発見しました。

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Technology

 電気顕微鏡は以下の電気化学上の発見にもとづいています。従来、溶液中に設置した2つの電極間で交流電圧を用いてインピーダンスを測定すると、溶液-電極の界面で生じる抵抗と、溶液中に生じる抵抗とが合わさったものとして抵抗が測れることが知られていました。近年の研究によって、表面積が100µm^2である電極を31mm以下の間隔で設置してインピーダンスを測定すると、溶液-電極の界面で生じる抵抗と、溶液中に生じる抵抗とが異なる周波数特性をもって測定できることがわかりました。これにより、従来困難であると考えられてきた溶液-電極の界面で生じる抵抗の測定が可能となりました。

 実験では、細胞やスチレンビーズなどの非電解質成分が電極に接触したことを、溶液-電極の界面で生じる抵抗の低周波数シフトとして検出できることがわかりました。また、電極を多数アレイすることによって、平面上のどこにどのような細胞が存在するのかを測れることもわかりました。この方法では、従来の光学顕微鏡と異なって、電極表面の状態のみが測定可能であるため、ピントを合わせる必要がありません。ピントをあわせる必要がないということは、観察対象とセンシングデバイスとの間に空間を確保する必要がないことを意味し、また電磁波を透過させる必要もないということです。したがって、センシングデバイスを接触させることのできる全ての面を観察可能となっています。

 電気顕微鏡の挙動に最も近い挙動を示すセンシングデバイスは水晶振動子センサーでしょう。水晶振動子は固有振動数を持ち、任意の対象が水晶振動子に接触することによって固有振動数が低周波シフトします。電気顕微鏡の個々の素子の基盤は固体でできていますが、溶液-電極の界面で生じる抵抗の周波数を決定するものは、界面に存在する溶液由来の分子です。溶液由来の分子のうちその時たまたま界面に存在するものが特性を示し、それらの分子は溶液中に拡散してしまうため、常に更新されることになります。この更新作用によって、電気顕微鏡は測定を長時間継続させた際の素子部品の劣化などによる測定障害が起こらないようになっています。そのため、例えば、点滴の針の側面に設置して血液中の細胞をリアルタイム的にモニターする、といったことが可能になります。

Publications

[Papers]
An Electrical Impedance Biosensor Array for tracking Moving Cells
Ogata Norichika, Akihisa Shina, Takayuki Komiya, Yoji Iizuka, Ken Matsuse, Fuminobu Imaizumi, Tomoyuki Suwa, Akinobu Teramoto
2018 Conference Proceedings, IEEE SENSORS, p.1557-1560, ISBN: 978-1-5386-4707-3
[ieee Xplore] DOI: 10.1109/ICSENS.2018.8589577

[Misc]
オートフォーカス・再生する電気顕微鏡 生体内で1細胞レベルの長時間追跡が可能に
東北大学プレスリリース [web][PDF]

Mission

Company